現在使用しているETC車載器が使えなくなる!? セットアップ申込書の車載器管理番号で確認を！

ETC（Electronic Toll System）は、高速道路や有料道路における自動料金支払いシステムのこと。クルマに搭載したETCカードを挿入したETC車載器と、料金所に設置されたアンテナとの間で無線による情報を交信して利用料金を支払う仕組みだ。

現在では94％以上のクルマに普及しているETCだが、利用すると現金で支払うよりも様々な割引があるだけでなく、首都高速をはじめ現金では利用できないETC専用の料金所が増えるなど、便利なカーライフには欠かせないアイテムとなっている。

そんな便利なETCだが、古いETC車載器が使えなくなるかもしれないことをご存じだろうか？ 2007年製よりも古いETC車載器は、2022年問題＆2030年問題を抱えていて、現在は使用できていても近い将来買い替える必要があるのだ。では、ETCが抱える2022年＆2030年問題とはどんな問題なのだろうか？

ETCゲートを利用するためには、ETCカードとETC車載器が必要となる。ETCカードには使用期限の年月が記載されているが、ETC車載器はそういった記載がない。しかし2022年＆2030年問題はこのETC車載器の使用期限に大きく関係している。

2022年に電波法が一部改正され、不必要な電波（不要電波）をできる限り低減させ、電波利用環境の維持、向上および電波利用の推進が図られた。この結果、無線設備スプリアス発射（必要周波数帯の外側に発射される不要な電波）の許容値が改正された。

これまで旧スプリアス規格の無線設備、つまり古いETC車載器についての使用期限は2022年（令和4年）11月30日とされた。これをETCの2022年問題という。本来ならば新スプリアス規格に合致していないETC車載器は2022年で使用できなくなる予定だった。

しかし新型コロナ感染症による社会経済への影響などによる無線設備の製造や移行作業に遅れが生じていることを考慮し、使用期限は当分の間、延長されることとなったのだ。つまり、古い規格のETC車載器は暫定的に使用が継続できているだけで、いつ使用できなくなるかわからないという状況になっている。

2022年問題に該当するETC車載器は限定的である。一方、2030年問題の影響はかなり広範囲のETC車載器が該当する。それはセキュリティ対策が厳格化されるためだ。

これは2017年に国土交通省が情報漏洩（ろうえい）を防ぐために、セキュリティ規格を2030年頃までに変更するというものが理由だ。したがって2030年問題対象の旧セキュリティ規格のETC車載器は、ETC車載器規格変更後、ETCレーン（ゲート）を通過できなくなる。2022年問題では旧スプリアス規格のETC車載器でもETCレーン（ゲート）は通過可能だったが、2030年問題ではクリアしていない車載器では通過できなくなるのだ。

現在使用しているETC車載器が2030年問題の対象機種かどうかは「車載器管理番号」で確認できる。「車載器管理番号」は、取扱説明書、ETC車載器セットアップ申込書、ETC車載器セットアップ証明書などに記載されている。管理番号の1桁目が「1」の場合は新セキュリティ規格対応。「0」の場合は旧セキュリティ規格対応車載器となる。

「車載器管理番号」は、ETC車載器型式番号とは異なるため注意が必要だ。使用しているETC車載器の「車載器管理番号」を確認して、最初の数字が「0」だったときは速やかに交換をおすすめする。2022年問題の猶予期間の期限発表や2030年問題の具体的な発表があった際には、多くのユーザーがETC車載器を購入することになる。その結果、品薄となったり交換作業に時間がかかったりしてETCが使用できない期間が発生することになりかねないからだ。ETCを利用する際には、ETC車載器の「車載器管理番号」を早めに確認しておこう。